エンジニアの備忘録

学んだ事をアウトプットしていきます

確率と統計を使ってEAのパフォーマンスチェック

読んでみた個人的な感想

著者、山本克二さんの「売買システム判別法」の本の内容が面白かったので、重要な内容を自分用にまとめておく。

書いてある事は非常に為になる内容だった。ハズレの多いトレードの本では間違いなく良書。

著者はトレード会社(他人)などが作ったシステムを使っていて、それらを使えるEAなのかを確率統計を使い判別する術を教えてくれている。

他人の物を使うという事は、正体が分からないブラックボックスを使う事になるのだが、本人いわくシステムの中身がどういった物かを知る必要は無いらしい。

大事なのは、そのシステムが利益を生み出す事が可能なのかを判別する力

確かにその力があればブラックボックスを知らなくても利益は出せるという事実は本当なのかも知れない。

しかし誰かのシステムで稼ぐという事はその「誰か」に依存している事になる。

じゃあその複数の誰かがいつか消えたりなど何かあった場合どうするのか?

共倒れのリスクが一生付き纏う以上、やっぱり他人に依存するのは自分はしたくない。

ブラックボックスを知る事は、どういった内容のシステムが機能して機能しないのか本質を理解しないといけないので、自らシステム開発するトレーダーにとっては必要な過程なのだと思う。

ただ10年以上前の本だから環境は違ったのかもしれない。

現在では依存しようとする人をカモにする投資分野でのビジネスや悪質な商材販売が増えすぎてるから余計厳しそう。

信頼区間

自分の成績から信頼区間を求めることで、95%の確率で将来の成績はこの幅に収まるだろう、という事が分かる。

直近30回の95%信頼区間が1000円 <= µ <= 2000円 →次の30回の平均損益はこの値の範囲内に収まる。

中央値 =( 下限値 + 上限値 ) / 2

サンプル回数が増える程、大数の法則によって信頼区間の精度が上がる。

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計算式

①サンプル数のトレード結果をB1,B30に入力

②マイナスなら下限値、プラスなら上限値を求める

③95%信頼区間(1-95%)(90%なら0.10)

④サンプル数(今回は30回)

↑損益と回数から損益の下限値・上限値を演算

 

↓勝率のパターン

上限: A3+1.96*SQRT(A3*(1-A3)/(B3-1))
下限: A3-1.96*SQRT(A3*(1-A3)/(B3-1))
 
A3=勝率(例:0.4)
B3=トレード数(例:100回)
 

仮説検定

信頼区間では95%に焦点が当たっていたが、仮説検定では5%の間違える可能性を計算式に取り入れている(計算式は省く)

↓偶然に起こりうるPFの範囲

PF(5%) 4.26 2.56 2.11 1.90 1.77 1.68 1.61 1.56 1.52 1.49 1.46 1.44 1.42 1.40 1.38
PF(1%) 6.57 3.17 2.48 2.16 1.98 1.86 1.77 1.70 1.65 1.61 1.57 1.54 1.51 1.49 1.47
サンプル数 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150

損益プラマイ0に収束するPF1のシステムを使っても、最初の10回はビギナーズラック(偶然)によって大儲けが出来てしまう事が起きてしまう。

余談だがFXを始めた当初は数回程度のトレードで50万円儲けた事がある。

稼げると錯覚したものだが、まさしくそれは少ない試行回数で起きた偶然の出来事であり、その後はしっかりと実力値であるPFに収束して破産している。

話を戻して、この仮説検定のメインは偶然の外で起きた事に重きを置いている。

システムの結果が偶然の範囲外を示した=実力があるのではないか

といった風に捉える。

短い時間で回数の多い裁量トレードをした場合なんかは有効活用できると思った。